音楽を学ぶ

音楽を勉強したい、合唱部、吹奏楽部、オーケストラ部、音大受験生の為の『楽典、音楽理論、楽曲分析』解説のためのページです。

移調楽器の音名(1)

移調楽器についてのお話です。

 

一応ここでは一般的にオーケストラで使われている楽器についてです。カッコ内はその楽器の記譜上よく(?)使われるのドイツ音名のキー。

弦楽器

ヴァイオリン(C)

ビオラ(C)

チェロ(C)

コントラバス(C)*オクターブ上で記譜

 

木管楽器

フルート(C)

オーボエ(C)

ファゴット(C)

クラリネット(B、A、Es)

サックス(B、Es)

 

金管楽器

ホルン(F、Es、D、E、H・・・)

トランペット(B、C、Es、D、E・・・)

トロンボーン(C、B)

チューバ(C、B、Es、F)

ユーフォニアム(C、B)

 

オーケストラではこの様に様々な楽器で構成されています。ここで何が言いたいのかというと、『ド』の音は必ずしも『ド』ではないということです。

オーケストラ全体で楽譜に書いてある『ド』の音を演奏すると下の楽譜の様に様々な音が鳴る恐れがあります。なので実音の『C』『ド』で、コンサートキー『C』『ド』で、や記譜の『ド』『レ』、『ソ』などの指示が出される場合があります。(以前お話しした音名と階名の違いについて話しましたが、あまり認知されていないため音名のことを『実音』『コンサートキー』と表現する方が一般的)

 

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実際どういうことかというと、例えばクラリネット、トランペットなどのB管(ベー管)の楽器が下の楽譜ドの音を演奏すると『シのフラット』の音が鳴るということです。

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なんのことかわからない方も多いと思いますが、次回諸々を一覧にしたものを添付いたしますが、その前に各国の音名について簡単に書ければと思います。

音部記号、譜表

本題に入る前に五線と加線について軽く触れておきます。

五線は音の高低を表記する方法として下のような五線、加線の記譜法になったのは18世紀ごろと言われています。一応名称は覚えておくと良いと思います。

また五線を手に置き換えてリハーサル中に使うことがあります。親指が第5線、小指が第1線。。あとは皆様ご自分の手と下を見比べてみてください。意外と便利です。

 

それでは本題です。

まず音部記号と譜表についてですが、教科書、テキストによって色々な呼び方、名称、解釈がありますので、あくまでも個人的な解釈を書いていきます。

 

まず音部記号についてですが、名称は下の通りですのでご確認ください。

この記号は、それぞれの階名の位置を示します。(音名ではない)なぜそうなるのかというと、移調楽器に関してその限りでないからです。移調楽器については次回書きます。

 

注・・・・・ト音記号第2線から書き出しその位置を『ソ』(g1)の音とする。と音名を指定して書いてある場合もあります。必ずしも間違いではありませんが例外もあると言うのをご理解いただきたいと思います。ヘ音記号、ハ音記号も同様。

 

また覚える必要はありませんが、ト音記号『G』ヘ音記号『F』、ハ音記号は『C』を元にしてその図形が作られました。

 

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続いて譜表です。

譜表と記号の区別をつけていない場合もありますが、あくまでも個人的には

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のことを記号といい、五線に記入されたものを譜表というのかと思います。

各譜表の説明、詳しくはhttps://ja.wikipedia.org/wiki/音部記号をご覧ください。Wikipediaだと譜表ではなく記号と記載されておりますが、参考にして頂ければと思います。

 

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階名と音名の違いについて

前回

階名とは音階における音の役割のこと(役職の様なもの)

音名とは音の名前(固有名詞)

と書きました。

 

いきなりですが絶対音感』『相対音感どこかで耳にしたことはありますか?

ざっくりですが

絶対音で音楽をしている人は音名を

相対音で音楽をしている人は階名を

普段使っている傾向にあります。

 

それでは音名と階名について書いていきます。

 

音名についてですが固定ド、コンサート・キーの事を指します。ピアノ等の鍵盤楽器、ヴァイオリン等の弦楽器を演奏したりしたことがある方は大抵の方は普段楽譜を読んでいる通りのものです。日本のオーケストラ、吹奏楽においてはドイツ音名、イタリア音名を使うことが多く、バンド等の方だとアメリカ、イギリス音名を使うことが多いです。

 

階名についてですが説明する前に下の鍵盤をご覧ください。

 

ハ長調

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と読んでいますが決して間違いではありません。音階の構成音にはそれぞれ役割があり、それにドレミ、、、を割り当てたものを階名と言います。また移動ドとも言います。

少し解りづらい話かも知れませんが、管楽器奏者の場合その楽器の階名を音名として扱っている方が多いです。また管楽器を始める前に別の楽器で固定ドを身につけている場合その楽器の階名は使わず音名を使っていることが多いです。

 

階名においてのドレミ、、、の役割

 主音 第一音 tonic(トニック)

音階の基礎となる音。楽曲の終始音になることが多い。その音階を代表する音。

 上主音(じょうしゅおん) 第二音

主音の上の音。

 中音 第三音 (性格決定音ということも)

主音と属音の中間音。長調短調を区別するための重要な役割を担っている。明るくなるか、暗くなるかはこの音次第。

ファ 下属音 第四音 subdominant(サブドミナント

主音の五度下の音。属音と対称の位置のため下属音(かぞくおん)となった。主音の補助をしたり属音の補助をしたりする。また和声上下降導音の機能も持っている。そこそこなんでも出来る音。

 属音 第五音 dominant(ドミナント

主音の五度上に位置する。主音を確定する重要な役割。またその調を支える大黒柱的な存在。(たまに裏切ることも

 下中音 第六音 

主音と下属音の中間音。中音の様に長調短調を区別するためのそこそこ重要な役割を担っている。実は曲の雰囲気を自在に変えることも出来るし、主音に偽装することも。。。

 導音 第七音 leading tone(導音)

読んで字の如く、主音へ導く音。二度上行、主音へ帰結する働きを持っている。メロディーの場合は音程を少し高めに取ったりもするし、和声上だと音程を少し低めに取ったりもする。すごく繊細な音だが主音への忠誠心は相当なもの。

 

階名はその曲の調子を掴む上ですごく重要な役割を果たします。音楽の基礎段階ではかなり有効で、どの調にもすぐに対応できるようなります。音が取りにくい場合やフレーズが取りにくかったり、掴みづらい場合は階名唱を試してみると新しい発見があるかも知れません。しかしながら現代の音楽では頻繁に転調したり無調の曲も多々あるため階名(移動ド)より音名(固定ド)の方が実用的になってきています。

 

次回音部記号、譜表について

音名については近日中にもっと掘り下げていきます。

 

 

蛇足

階名のドレミ、、、の役割を会社の役職?でいうとこんな感じ???

皆様の印象はどんな感じでしょうか?

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音名(1)

今回はドレミファソラシドの由来についてのお話です。

結論から言うと、ドレミ・・・は11世紀『聖ヨハネ賛歌』の歌詞に由来して付けられました。グィード・ダレッツォ Guido d'Arezzo  が体系化したと言われてます。

グィードは当時使われていたヘクサコード(hexachord)を正しく理解し視唱するため、『聖ヨハネ賛歌』の句の最初の文字「Ut Re Mi Fa So La」を利用しました。これを「階名唱法」と言いソルミゼーションの基礎が確立されました。(Ut Re Mi Fa So Laはフランス音名)

 

 

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*ここで話がそれますが、現在ではソルフェージュのカテゴリーの中にソルミゼーションが有ります。混同しない様に。

またここで階名音名の違いには留意していただきたい。

 

簡単に言うと

階名とは音階における音の役割のこと(役職の様なもの)

音名とは音の名前(固有名詞)

 

余計分かりにくいので次回階名音名について説明いたします。

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ここで言うドレミ・・・は全音全音-半音-全音全音という音程関係のことを指し、「Ut(ウト)」はハ音(C)だけでなく、ヘ音(F)、ト音(G)にもなります。

6つの音以外のない音の表現が必要な場面が出てきた時には、「ミ-ファ」の半音を「シ-ド」の半音に当てはめて考え、 「ソ」を「ウト」に読み替えて、ソの音からまた「ウト、レ、ミ、ファ、ソル、ラ」とする使い方がされていた様です。

 

現在のドレミファソラシドを当時のヘクサコードを使って歌うとすると

 

Ut Re Mi Fa Ut Re Mi Fa

 

「ウト、レ、ミ、ファ、ウト、レ、ミ、ファ、」言う具合でしょうか?

 

そしてイタリアでは16世紀ごろ『Ut』の発音の関係で歌いづらく「Dominus=主の意味」の「Do(ド)」に変更され、17世紀頃になってラの上の音をもう一つ当てればよいと提唱されて、『シ』の階名が付け加えられました。語源は『聖ヨハネ賛歌』の最後のフレーズ、Sancte Johannes(聖ヨハネ)」の頭文字を取ると”SJ"となりますが、JはIの異体で、「Si(シ)」と変化したということです。ラテン文字に関して詳しくはhttps://ja.wikipedia.org/wiki/ラテン文字を参考にしてみてください

そうして長調短調の調も確立されて、ヘクサコードは使われなくなっていきました。(ちなみにこの頃は音楽史バロック時代)

これで、17世紀後半に変化しながらもイタリア語の「ドレミファソラシ」が成立しました。

 

余談ですが聖ヨハネ賛歌は元祖ドレミの歌とも言えるかもしれませんね。

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付録

日本はその頃?

・11世紀(1024年?)

  グィード・ダレッツォ Guido d'Arezzo (991年または992年- 1050年) が体系化

平安時代

  藤原道長が摂政となる。(1016年)

 

・16世紀ごろ(1673年?)

 『Ut』の発音の関係で歌いづらく「Dominus=主の意味」の「Do(ド)」に変更

・江戸時代

  最初の生類憐れみの令(1685年)

 

・17世紀頃、

  『シ』の階名が付け加えられました。

・江戸時代

  田沼意次が老中となったり(1772年)、松平定信が老中になったり(1787年



付点、複付点、三重付点音符

付点音符(休符)は単純音符(付点のついていない状態)に+2分の1した音価さ)を表します。また付点が二つの複付点音符、ごく稀にしか使いませんがf付点が3つ付く三重付点音符というのもあります。

下の図を参考にしていただけると法則が理解いただけるかもしれません。

 

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二分音符の所を他の音符(休符)に置き換えていただければ応用できると思います。

理屈の上ではは4重付点、5重付点も存在する可能性もあります。しかし楽譜は見やすいというのが大前提にあるので使いはしませんが、理屈だけは理解しておくと良いかもしれません。

 

 

次回 音名について

音符と休符(1)

音符は音の演奏する長さを示す。また音の高低を示すものである。

休符は音を出さない長さを表す。

休符はお休みと考えられる事が多いが、実際に音楽を表現する際には緊張感や力強さ

、様々な表情を作る上で音符と共に重要な役割を果たす。

また音符、休符の長さのことを音価という。

演奏、合奏、リハーサルをする際にもよく使う言葉ですので必ず覚えておいてください。

下図は上から下に二分の一の音価の関係性になっている。音符(休符)の名称については全音符を基準に考えると覚えやすい。

全音符(休符)の2分の1が2分音符(休符)

全音符(休符)の4分の1が4分音符(休符)

全音符(休符)の8分の1が8分音符(休符)

全音符(休符)の16分の1が16分音符(休符)

 

・・・・・以下32、64、128、256、、、と続く 

 

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8分休符を反対にしたような休符は4分休符を表すが現在はあまり使われていない。古い時代の楽譜やフランス版の楽譜に出てくる事があるので、一応参考までに。

上記の音符を『単純音符(休符)』というが実際にはあまり覚える必要はない。

そのうち定量記譜法等も触れられたらと思いますがまだ先になるかと思います。

 

 

次回 付点について 書こうと思います。