音名(1)
今回はドレミファソラシドの由来についてのお話です。
結論から言うと、ドレミ・・・は11世紀『聖ヨハネ賛歌』の歌詞に由来して付けられました。グィード・ダレッツォ Guido d'Arezzo が体系化したと言われてます。
グィードは当時使われていたヘクサコード(hexachord)を正しく理解し視唱するため、『聖ヨハネ賛歌』の句の最初の文字「Ut Re Mi Fa So La」を利用しました。これを「階名唱法」と言いソルミゼーションの基礎が確立されました。(Ut Re Mi Fa So Laはフランス音名)
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*ここで話がそれますが、現在ではソルフェージュのカテゴリーの中にソルミゼーションが有ります。混同しない様に。
またここで階名と音名の違いには留意していただきたい。
簡単に言うと
・階名とは音階における音の役割のこと(役職の様なもの)
・音名とは音の名前(固有名詞)
余計分かりにくいので次回階名と音名について説明いたします。
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ここで言うドレミ・・・は全音-全音-半音-全音-全音という音程関係のことを指し、「Ut(ウト)」はハ音(C)だけでなく、ヘ音(F)、ト音(G)にもなります。
6つの音以外のない音の表現が必要な場面が出てきた時には、「ミ-ファ」の半音を「シ-ド」の半音に当てはめて考え、 「ソ」を「ウト」に読み替えて、ソの音からまた「ウト、レ、ミ、ファ、ソル、ラ」とする使い方がされていた様です。
現在のドレミファソラシドを当時のヘクサコードを使って歌うとすると
Ut Re Mi Fa Ut Re Mi Fa
「ウト、レ、ミ、ファ、ウト、レ、ミ、ファ、」言う具合でしょうか?
そしてイタリアでは16世紀ごろ『Ut』の発音の関係で歌いづらく「Dominus=主の意味」の「Do(ド)」に変更され、17世紀頃になってラの上の音をもう一つ当てればよいと提唱されて、『シ』の階名が付け加えられました。語源は『聖ヨハネ賛歌』の最後のフレーズ、「Sancte Johannes(聖ヨハネ)」の頭文字を取ると”SJ"となりますが、JはIの異体で、「Si(シ)」と変化したということです。(ラテン文字に関して詳しくはhttps://ja.wikipedia.org/wiki/ラテン文字を参考にしてみてください)
そうして長調、短調の調も確立されて、ヘクサコードは使われなくなっていきました。(ちなみにこの頃は音楽史上バロック時代)
これで、17世紀後半に変化しながらもイタリア語の「ドレミファソラシ」が成立しました。
余談ですが聖ヨハネ賛歌は元祖ドレミの歌とも言えるかもしれませんね。
付録
日本はその頃?
・11世紀(1024年?)
グィード・ダレッツォ Guido d'Arezzo (991年または992年- 1050年) が体系化
↓
・平安時代
藤原道長が摂政となる。(1016年)
・16世紀ごろ(1673年?)
『Ut』の発音の関係で歌いづらく「Dominus=主の意味」の「Do(ド)」に変更
↓
・江戸時代
最初の生類憐れみの令(1685年)
・17世紀頃、
『シ』の階名が付け加えられました。
↓
・江戸時代
田沼意次が老中となったり(1772年)、松平定信が老中になったり(1787年)